難解極まりない超複雑な機械式時計の仕組みを“優しく”解説する『超弩級 複雑腕時計図鑑』がMEN’S EX特別編集によって発売に。ここでは、その中身をピックアップしてご紹介する。
3つの複雑機構のすべてに優れた革新性が潜む
水平と垂直、2つの回転軸でキャリッジが立体的に回転する──ジャイロトゥールビヨンは、ジャガー・ルクルトによる、優れた大発明である。誕生は、2004年。本作は、これを搭載した5つ目のモデルだ。さらに永久カレンダーとミニッツリピーター、そして主ゼンマイからのトルクを均一化するコンスタントフォースも組み込んだ、超複雑モデルである。
ジャイロトゥールビヨンは、垂直方向の回転域を得るために、ケースの厚みを必要とする。それを軽減するため、同機構史上最少のキャリッジを実現。既存のキャリッジと比べ直径が1.4㎜以上小さくなった新ジャイロトゥールビヨンは、それを収めるケースを14.08㎜という実用的な厚みに抑えることに成功した。
水平方向は1周1分、垂直方向は1周26秒の各回転は、香箱からの駆動力を蓄えた第2のゼンマイが1分毎に放出する均一のトルクによって正確に制御される。このコンスタントフォースは、分針の運針にも使われる。すなわち針が1分毎に進む、ジャンピングミニッツとしているのだ。この機構は、ミニッツリピーターにも有益に働く。分針の歯車は1分刻みで進むため、リピーターの分単位の読み取りに誤差が生じないからだ。
そのゴングは、ブルーに染められダイヤル上に姿を見せる。左右2つずつを重ねた、それぞれ4組のゴングとハンマーは、15分単位の時打ちの音でウエストミンスター寺院のビッグ・ベンの音階を再現。前ページで述べた、正方形の断面をもつゴング形状、クリスタルゴング、そしてトレビュシェ・ハンマーという革新の機構もすべて盛り込んでいる。
オフセットダイヤル内に4桁数字の西暦表示、外周にポインターデイトと月・曜日表示窓を配置した永久カレンダーも、実に優秀である。リューズで一斉送りと、戻すことができるのだ。
名門マニュファクチュールによる革新性の数々が1つの時計に集約された。
Point 1
水平方向は1周1分垂直方向は1周26秒
2つの軸の回転速度を変えることで、重力の影響はより広く平均化される。最小となったジャイロトゥールビヨンは、0.4gと軽量で駆動効率が良く、さらに一定のトルクで駆動させるフドロワイアント式のコンスタンフォースが組み込まれ、高精度をかなえている。
Point 2
ビッグ・ベンの音階を再現
15分単位の音で、ビッグ・ベンと同じメロディを奏でるウエストミンスター・チャイムは、ミニッツリピーターの最高峰。4つのゴングは、2つずつ重ねて分けられ、5時位置と7時位置でサファイアクリスタル風防に溶接。風防に共鳴した音は、外側へと大きく広がる。
Point 3
一斉送りと戻すことができる
同メゾンの既存の永久カレンダーも、リューズによる一斉送りはできた。しかし一斉戻しも可能としたのは、初。各暦の個別調整用のコレクターも装備。ポインターデイトの針は、ジャイロトゥールビヨンを隠さぬよう、16日と17日との間を大きくジャンプして運針する。
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